きのコのプレイルーム〜非日常の様式美。ストリップの魅力とは〜
こんにちは!きのコです。
この連載「きのコのプレイルーム」では、アングラ歴10年超の私が、さまざまなアングラ・エロ・変態にまつわる体験談や日頃の思いを赤裸々に綴ります。
裸の女性が踊る劇場として「ストリップ劇場」という言葉を知っている人は多いと思います。
しかし、実際に足を運んでストリップを鑑賞したことのある人はどれだけいるでしょうか?
実は今、ストリップ鑑賞が好きな女性が増えているといいます。今回は、そんなストリップ好きな女性の1人である私が、最近行ったストリップ劇場について綴りたいと思います。
今回私が訪れたストリップ劇場は「シアター上野」。
上野仲町通りの商店街にある、上野で唯一のストリップ劇場です。客席数は約30席のこぢんまりした小屋。学生割引やシルバー割引もあり、高齢の方も多く訪れています。
「エロく美しく!」をコンセプトに、毎日6名のストリッパー(シアター上野では「舞姫」と呼ばれます)が趣向を凝らしたショーを見せてくれます。
ストリッパー達は、装いもダンスも十人十色。
脚立を使ったダンスあり、椅子を使ったチェアダンスあり、ハート型のフープにぶら下がって優雅に回るエアリアルフープもありました。
肩書きもさまざまで、中には書店員でエッセイストで踊り子というマルチタレントな人も。書店員風のエプロンを身につけ自分が出版した著書を持って踊る様子が印象的でした。昔だったら、ストリッパーは裏稼業・書店員やエッセイストは表稼業と世界を区別されていて、両方の肩書を同じ場所で公表するなど考えられなかったのではないでしょうか。
ストリップを観ていていつも感心するのは、エロいとか興奮するとかいうよりも、いかに見せるか・いかに見せないかというある種の様式美です。
ストリッパーの多くは「ソロベッド」と呼ばれる、進行に合わせて1枚、また1枚と衣装を脱いでいくダンスを中心としたショーをおこないます。
昔はストリッパー同士が、あるいはストリッパーとお客さんとがプレイをおこなうショーもありましたが、今は基本的に「お触り禁止」。だからこそ、”見せるだけで魅せる”ためにショーそれ自体のクオリティが求められるのです。
ダンスに合わせて衣装をどう脱ぐか、脱いだ衣装で身体をどう隠すか、そしてどのタイミングでどう見せるかという様式美。胸や性器を露わにするのが早すぎても興醒めだし、遅すぎても飽きてしまうし、ここぞという絶妙なタイミングで見たいものが見えた時にこそ、客席のボルテージが高まるのです。
裸になったストリッパーは花道の先にある盆でさまざまなダンスを披露するのですが、まるで歌舞伎役者が見栄を切るように、ストリッパーも「決めポーズ」を決めます。
決まった!!という瞬間、お客さん達はすかさず拍手を送ります。中には持参したタンバリンで拍子をとる「タンバさん」や、色とりどりのリボンを投げる「リボンさん」と呼ばれる人も。まさにストリッパーとお客さんが一体となってショーを作り上げているのです。こういう様式美もいいなぁ……としみじみ感じます。
ストリッパーによっては自分のグッズを販売していて、お客さん達が推しのストリッパーのオリジナルTシャツを着てショーを観ていることもしばしば。この辺りはアイドルのファンと変わりませんね!
そして、ショーが終わった後は「ポラタイム」と呼ばれる、お客さんがストリッパーを撮影する時間。
お客さんがステージの前に並び、お金を払って、ストリッパーにポーズをとってもらい撮影します(ポーズはお客さんが指定することもできます)。
ショーを終えて一旦ハケたストリッパーは、「ポラ着(ぽらぎ)」と呼ばれるポラタイム用の衣装で再登場してくれます。バチバチに決めたショーの衣装と違って、Tシャツワンピなど部屋着のようなゆるめのポラ着も多く、ショーとのギャップもまた素敵!!
私はストリップをはじめ、バーレスクやポールダンスなど、主に女性がその身体を使って表現するようなダンスパフォーマンス全般が好きです。中でもストリップはいろいろなショーを観てきたつもりですが、どんなショーにもストリッパー達の思いが詰まっているのを感じることができます。
ストリップの「非日常の様式美」には、エロにとどまらない感動が詰まっていると思えるのです。
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