ごきげんよう。青子(あお子)です!
童の貞。DT。女性経験のない男性を指す言葉は様々存在するが、最もポップでポピュラーなのは『チェリーボーイ』ではないだろうか?
しかしなぜ”さくらんぼ”?調査してみた。

チェリーは処女を指す言葉?

そもそも、「チェリー」は童貞ではなく、『処女』という意味である

……え?「チェリー」は処女じゃなくて童貞じゃないの?
私もそう思った。
しかし、そもそも英語の『cherry』は「サクランボ」のことだが、俗語として「処女」「処女膜」という意味でも使われてきたという。
理由は、処女を失った時に流れる淡い色の血液を表す言葉で用いられるため。そこから、処女を失った女性を呼ぶ比喩表現で使用されていたという。
『サクランボ』色は『処女の血』の色とな……なかなかに生々しい。

そしてその「処女」の意味から派生し、俗語上「童貞」や「初心者」、また「真新しいこと」の意味でも用いられるようになった。
そんな追記された意味の方が日本に伝わり、『cherry(真新しい)』+『boy(男の子)』『チェリーボーイ』という和製英語が誕生したという。
まさか最初は経験の無い女性を指す言葉が、こちらでは「チェリー」という略語までもが経験の無い男性を指す言葉に変化していったのだ。

ちなみに「チェリーボーイ」は日本発祥の言葉として、英語の俗語辞典に掲載されている
ついには海を超えてカタカナ言葉が逆輸入されていったというわけだ。

聖なる「童貞さま」の語源

では「童貞」という言葉とは何なのだろうか?
ーーーーなんと、こちらも当初は女性を指す言葉だったというのだ。

「童貞」の意味は「童(わらわ)の如く操が貞(ただ)しい」ゆえに、「性的に純潔である」ということ。
元々はキリスト教カトリック教会の修道女(尼僧)を敬って言う表現であり、つまりが女性専用であったのだ
その理由ゆえ、聖母マリアの純潔を論じる際も「童貞」という表現が使われ、尼僧や聖母マリアを指して「童貞さま」と呼ぶこともあった。
1874年ごろにはそういった意味での様々な使用例が見られる。

しかし1920年代に入ると「童貞」という言葉は宗教的な意味合いが薄まり、男女関係なく単純な『異性と未経験の状態』を意味する使用法が見られるようになった。
そして、この頃にはまだ男性に対しても「結婚するまでは純潔を守るべし」といった風潮が認められていたため、同様に性的に純潔な男性に対してもポジティヴに「童貞」という形容が使われていたのである。

童貞が人を指す用法としても一般化するのは1950年代以降で、また、主として男子を指す言葉として確立するようになる
時代の移り変わりにより少年は青年に・青年は大人になることを強請されるようになるにつれ、”未熟である” “取るに足らない”といった意味合いで使われる「童(わらわ)」が含まれる『童貞』は徐々にネガティヴなニュアンスを帯びるようになったのだ。
こうした定義から明確に男子のみを指すようになるのは1970年代以降になってからのことである。

古代ゲルマン人の間では長く童貞を守れば守るほど身長が伸び、体力が優れ、筋肉が強くなったと信じられていたため、遅くまで童貞を守る者は賞賛されていた
かつて戦前の日本でも自他共の純潔を尊重し、結婚するまでは童貞を守るべきという風潮が強かったのだが……今はどうして『童貞』というものに対しての風当たりは非常に強い。

処女は良く、童貞は悪いというイメージ

しばしば、『チェリーボーイ』ならびに『童貞』は、現代では男性の恥ずべき代名詞として扱われる。
しかし打って変わって『処女』はどうだろう。
かつては童貞も同じだったはずの、”尊いもの”として未だ扱われているのだ。(時と場合によっては厄介なものとして見られるケースもあるが……)

ーーー頭の悪いインターネットを徘徊していた私は、たとえ話として下記のような孔子と弟子との会話を聞いた。

弟子「先生、処女を貴重だと思う男は多いです」
孔子「その通りだ」
弟子「しかし逆に童貞は女に気持ち悪がられます」
孔子「確かに」
弟子「おかしいじゃないですか、何故このような意識の違いが生まれるのですか」
孔子「それは一度も侵入を許していない砦は頼もしく、一度も侵入に成功したことがない兵士は頼りないからだ」

おいおい、度々ジェンダー問題がいたる所で沸騰する現代においてなんてもんを出してくる。
しかしこれがいまだに存在するイメージそのものなのかもしれない。
でもさ、ガチDT勢は戦の経験云々じゃなくて、兵士ですらないだろうよ。早々に廃刀令が出されて刀を握ることすらしない農夫だよ。

だがこれだけは最後にはっきりと言う。
『チェリーボーイ』ならびに『童貞』は何も悪いことではない。バカにすることではない!
性的経験のない女性だけが”尊いもの” “守るべきもので、守っているから偉い”とされるのはおかしいだろう。男性で経験がないから何なのだ。ここは平等にいこうではないか。そもそも異性愛者でも同性愛者でもない人だっている。そんな人は一生こうやって馬鹿にされ続けるのか。それこそバカバカしい。

童貞である男性を描いた創作作品は多数存在する。
面白おかしく描かれるそういったエンタメが滅亡することでこの男女差別はなくなるだろうが、そんな日は果たして、この日本に来るのであろうか?

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西青子(すーぱーあお子)

MC・ナレーター。 あやまんJAPANユースメンバー。 Podcastラジオ『変態淑女のお茶会』パーソナリティ。 本業はグラフィックデザイナー。 キラキラ女子のふりをしたオタク。 深夜...

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