みなさんこんにちは。花粉の飛散も落ちついてきて少しだけ快適な季節…になるかと思いきや、急に暑くなりましたね。季節の変わり目、体調に気をつけつつ今日も元気に秘密の課外授業をしていきましょう。

本日の授業のテーマは、「日本の性教育、中国や韓国と比較してどうなの?」です。

ちなみに、manmam では日本と欧米の性教育について比較し書いてくださっている記事があるので、こちらも読んでみてください。


国際セクシュアリティ教育ガイダンス

今回は中国や韓国の性教育と日本の性教育事情についてご紹介します。
実は、性教育には「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」という国際基準の性教育のガイドラインがあり、年齢・発達・理解度の段階をおって、必要な時期に必要なことを学び、積み重ねていく事とされています。ここには5歳から性教育を始めるべきと書かれているんですよ。
これに沿った性教育をしていないのは、なんと日本と北朝鮮だけなんだそうです。

この国際基準のガイダンスでは、心と体の性は必ずしも一致しないこと、生理・射精・体の変化についても人それぞれで、進み方が違ってくるということもしっかり学ぶのです。

日本の性教育

日本はどうしても「性のことは秘める」部分がありますよね。
実際私が中学校で教えていた頃は、保健体育の授業で教える以外は1年生で「生命の誕生」。自分が生まれたときのことを生徒の親にインタビューする宿題を出したりしていました。2年生では「デートDV」「性の多様性」についてさらっと触れる程度。3年生では「性感染症の種類や症状」でした。(地域によっても教えている内容は異なるそうです)

正直なところ、あまりにもフワッとしすぎていて実践的ではなかったなぁと感じています。教えている側だった私も、「もっと詳しく教えられたらいいのに」と考えていました。それなのに教えるための授業の時間数は2~3時間。足りません。
しかし、最近小学校ではプライベートゾーン(口元と水着で隠れる部分)についての授業が行われるようになっていたり、少しは進んでいるのかな…という印象です。

ちなみにこの原因は学校教育の基準になる「学習指導要領」に関する「はどめ規定」というものがあり、中学校の保健体育であれば受精と妊娠については取り上げられますが、その前の段階、つまりセックスやコンドームの付け方、望まない妊娠を避ける方法については取り扱わないことになっているのです。もう生理が始まっている年齢であれば、妊娠の可能性はゼロではないのに。過去によりリアルな性教育をした学校が批判された例が報じられています。現状に即していない「はどめ協定」をそろそろ撤廃したり、性教育のありかたを変えていくべき時が来たようにも感じますね。しかし現場では「学習指導要領」に則って授業をしなくてはならないため、それを決めている文部科学省が「はどめ協定を撤廃する!」と通知を出したり国際ガイドラインに沿った性教育をするようにとGOサインを出していないので、現場は下手に動けないのです。

中国の性教育

それでは、世界基準のガイドラインに伴って他の国ではどのように教えているのでしょうか。
まずは中国からご紹介しますね。
中国では、幼児期から性について学べる教材があり、自分の体のことや生殖、セクシュアリティと行動などの幅広いカリキュラムが展開されています。
中国全土ではないのですが、一部の地域では小学生では年間72時間、つまり1ヶ月に1度性に関する授業が組まれているところもあるくらい。
しかも学校だけで性教育が足りないところは、民間や地域が主になって学ぶ機会が与えられるそうです。
実はここまで来るに至るまでは、かなり大変だったのです。過去、あまり性教育がなされてこなかった歴史があり、人工妊娠中絶や大学生のHIV感染者数が増加していたという現実がありました。

しかし、2021年から始まった「未成年者学校保護規定」により、性教育の実施について言及されてからは、しっかり行う方向に向かっているようです。

韓国の性教育

次に、韓国をご紹介します。
韓国の性教育は、実はお国柄あまり発展してこなかったのです。儒教を拠り所にしている人が多く男尊女卑の思想がまだ強く残っている国ですから、性教育については理解が浅かったんですね。しかし、近年は韓国でも性暴力の被害に遭う子供が社会問題となったことから、包括的な性教育をするようになっているんですよ。
高校の教科書では、コンドームの付け方に加えてピルについてもきちんと明記されています。
妊娠や出産についても、胎児の成長過程についての模型を使って、小学生のうちから学んでいます。そして、次の画像をご覧下さい。


引用元:note 【勉強会】韓国では、性暴力被害が多発した経験から、実践的な性教育が行われている!

これは、小学5年生の教科書で、性暴力について書かれているものだそうです。なんでも韓国では、性暴力の被害が多発したことから、その被害を抑止するためにも性教育が使われているのです。
性暴力を受けた後は体を洗わず病院に行くことや、告訴するかどうか決めるなど、もし被害に遭ってしまったらどうすれば良いかがきちんと書かれています。そして「性暴力は犯罪である」と明記されています。
国内での内情を反映しつつ、きちんと子どもたちへと性教育を施そうということがわかりますね。
今回は、お隣の2カ国についてご紹介しました。近年日本でも秋田県が性教育を熱心に行っている自治体として話題になっています。
幼いお子さんがいる親御さんは、「いつから教えれば良いんだろう?」と迷われますよね?
今はYouTubeや書籍、ブログなどで性教育を発信されている方や企業がたくさんあるので、簡単に情報にアクセスすることが出来ますよ。

日本では、まだまだ発展途上の性教育。
生理や妊娠、そして心と体の性についてきちんと知ることで、自分も周りの人のことも大切にできるのだと私は信じています。そのためにこの記事が少しでも参考になれば幸いです。

それでは、次回の秘密の課外授業もお楽しみに!

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莉音先生

元中学校教師。教員免許も持ってます。今は学校を飛び出しライター兼Webクリエイター。 お酒とスイーツとピアスが好きな好奇心の塊。 私と一緒に夜の課外授業していきましょう!

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