性描写における映画のレイティングシステムにはどんな決まりがあるの?
皆さんは、映画鑑賞はお好きですか?
筆者は大好きでよく映画を観ます。
映画にはR15+などのレイティングがされる場合がありますよね。
では、レイティングはなぜされるのか、どんな基準で設けられているのか、ご存じですか?
そういえば知らないな……という方、多いかと思います。
そこで今回は、映画のレイティングにはどういった決まりがあるのか、具体的に作品と一緒に解説していきます。
※あくまでも「性」に関するレイティングとしてご紹介していきますので、暴力・犯罪描写についての言及は避けます。
映画のレイティングシステムの種類
映画のレイティングシステムにはどんなものがあるのか、まず確認していきましょう。
以下は映倫のサイトから参照いたしました。(https://www.eirin.jp/img/4ratings.pdf)
G:General Audience(すべての観客)の略
年齢にかかわらず誰でも観覧できる
PG12:Parental Guidance(親の指導・助言)の略
12歳未満の年少者の観覧には、親又は保護者の助言・指導が必要
R15+:Restricted(観覧制限)の略
15歳以上(15歳未満は観覧禁止)
R18+::Restricted(観覧制限)の略
18歳以上(18歳未満は観覧禁止)
映画の例
上記のレイティングシステムの種類を知ったうえで、世に出ている作品たちがどのように分類されているのか、見てみましょう。
以下は映倫サイト内の「審査作品検索」(https://www.eirin.jp/index.php)にて調査しました。
G:「タイタニック」「アメリ」
PG12:「君の名前で僕を呼んで」「シザーハンズ」「17歳の肖像」
R15+:「ブラックスワン」「ソーセージ・パーティー」「ヘルタースケルター」
R18+:「薬指の標本」「アデル、ブルーは熱い色」
映画のあらすじと性描写
「タイタニック」
タイタニックと共に沈んだとされているブルー・ダイヤモンドを探しているトレジャーハンターのブロックらはついに、とある金庫を見つける。しかしそこに入っていたのは、女性が描かれた古い紙切れ。テレビでそれを見た女性はブロックらの元を訪れ、ある昔話を始める。
<男女のセックスシーンや女性の裸姿などの描写あり>
「アメリ」
空想好きの女性アメリは、ある日古い宝箱を見つけた。その宝箱を持ち主に返すことに成功した彼女は、周りの人々を幸せにしていく喜びを知る。そんなある日、アメリは不思議な青年ニノに出会う。
<男女のセックスシーンはあるが肌は見えない。喘ぎ声やピストン描写が激しめ>
「君の名前で僕を呼んで」
両親と共に夏休みを過ごしていた17歳の少年・エリオは、アメリカから来た24歳の大学院生・オリヴァーと出会う。やがて二人は激しい恋に落ちる。
<男性同士のセックスシーンや主人公の自慰行為シーンがある>
「シザーハンズ」
両手がはさみの人造人間エドワード。彼は人里離れた屋敷でひっそり暮らしていた。ある日女性が訪れ、エドワードは彼女の家に行くことに。そこで、その家の美しい娘・キムに恋をする。
<セックスシーンはあるがあくまでもコメディタッチ>
「17歳の肖像」
どしゃぶりの雨の日の帰り道、16歳の女子高生・ジェニーはかなり年上の男性デイヴィッドと出会う。豊富な知識や同級生とは違うたたずまいの彼に惹かれていくジェニー。ジェニーは試験や宿題ばかりの今までとは違う、刺激的な毎日に身を投じていく。
<セックスシーンや裸姿などのシーンがあるがごくわずかで、行為があったことだけ伝わる形>
「ブラックスワン」
「白鳥の湖」のプリマに抜擢された若いバレリーナのニナ。しかし優等生な彼女は、奔放で邪悪な黒鳥を演じるのに苦戦する。そんななか別のバレリーナが台頭してきたことにより、ニナは焦りや不安にさいなまれていく。
<セックスシーンや自慰行為のシーンあり。セックスシーンとは別に暴力的な血の出る描写あり>
「ソーセージ・パーティー」
スーパーマーケットの棚に陳列されながら、いつか購入されることを待ち望む商品たち。ソーセージのフランクとパンのブレンダは、二人でホットドッグになることを夢みていた。しかし彼らは知らなかった。購入後の残酷な未来を。
<セックスを思わせるセリフや描写がある。あくまでもコメディ的。残酷な描写もある>
「ヘルタースケルター」
完璧な美貌で、芸能界の頂点に君臨するトップモデル・りりこ。しかし、その美しさは全身整形により作られたものだった。ある日彼女の通うクリニックに捜査が入り、さらには生まれつき美しい後輩モデルが事務所に入ったことにより、りりこは追い込まれていく。
<セックスシーンや陰部を同性に舐めさせるシーンあり。裸の描写もしっかりある>
「薬指の標本」
薬指の先を失ったイリスは、生活を変えるため見知らぬ街で暮らすことに。そこで森の中にひっそりと立つ標本技術士のラボラトリーで働き始める。 やがて彼女は技術士に惹かれていく。
<セックスを示唆するシーンあり。人体を傷つけることや死を指し示すシーンあり。主人公が技術士に陶酔していく様子が描かれている>
「アデル、ブルーは熱い色」
女子高生のアデルは、ある日青い髪をした画家のエマと運命的な出会いを果たす。 その日からアデルとエマは互いを求め合い、強く愛し合っていく。しかし二人の気持ちはすれ違い始めてしまい。。。
<女性同士のセックスシーンや自慰行為シーンあり。思春期の性や二人の絡み合い方がリアル>
上記の映画は全てセックスを指し示す行為が表現されています。そのため、セックス描写のある映画でも「G」指定される可能性があることがわかります。「セックス」自体は年齢指定を行うような行為ではないということなのですね。
Gの区分は多少の性表現が含まれるものもありますが、ストーリー上必要なもののみとなっており、穏やかな描写がされているとのことです。(「アメリ」に関しては穏やかではないですが(笑))
「君の名前で僕を呼んで」は自慰行為の部分も含め結構激しい感じがしますが、PG12。PG12は、刺激的で小学生の観覧には不適切な内容も含まれている作品につけられます。保護者の助言・指導に期待するとありますが、どう助言すれば良いか悩む親御さんも多いかと思います。
「ブラックスワン」「や「ヘルタースケルター」がR18+でないことには驚きました。性描写以外の点でも刺激が強い作品です。とは言え15歳未満は禁止というレイティングなので厳しいと言えば厳しいのかもしれません。「ソーセージ・パーティー」はアニメなのでコミカルに描かれてはいますが結構刺激的。しかし食料問題を考えるにあたって若い方も見るといいかも。最後の方はちょっとホラーなので注意ですが。
「アデル、ブルーは熱い色」はたしかに刺激が強いかな、と思います。生々しさがありますね。驚いたのは「薬指の標本」。この作品のレイティングに関しては、性描写が原因ではないのかなと思います。「性」というよりはこの作品の主題となっている愛のかたちが問題なのかもしれません。純粋すぎるがゆえに狂気じみていて、解釈の仕方によっては危険性をはらんだ作品です。
ちなみに挙げた作品はすべて筆者が視聴済みのものです。おもしろいのでぜひ見てみてください!
そもそもなぜレイティングが必要なの?
映画好きの筆者からすると、どの年代であれ好きな映画を見ていいじゃないか!と正直思ってしまいます(笑)
しかし作品は、良い気分にさせてくれるものばかりではありません。感受性の強い方や繊細な方からすれば、その日一日の気分を左右させてしまうものも。
また、「性」に関しては、生きていくうえで正しい知識が必要です。性行為は、相手と合意の元行われなければなりませんし、性感染症を予防するためにコンドームが存在することなども知っておかなければなりません。映画作品では、必ずしもそういった知識が描かれているわけではないのです。
基礎的な知識を得ない段階から激しいセックス描写のある映画作品に触れると、間違った行動に走る可能性も否めません。
そのためにレイティングを設け、作品を作品として理解できるようにしているのです。
年齢による観覧制限について知るとおもしろい!
今回は、性描写における映画のレイティングシステムについてご紹介しました。
レイティングについて知ると、映画の見方も少し変わっておもしろいですよ!
皆さんの好きな映画はどんなレイティングがされているか、ぜひ調べてみてください。
そしてなぜこのレイティングとなったのか考えてみましょう。
「性」がどういった印象を人に与えるのか考えるきっかけになるはずです。
PR