「夫、知っているか。
今月セックスをしなければ、私たちはレス期間1年を迎える」
「妻よ、驚くなかれ。知っているぞ」

これは月の初めに、2人の子供が後部座席で寝た車の中で交わされた会話である。
私たち夫婦は、セックスの話がタブーではないくらい仲が良いのだ。それでもセックスレスなのだ。

1年もしていなければ、ムードの作り方どころか、パンツの脱がし方も忘れてしまった気がする。
 
言い訳をすると、まずこの1年は、赤ちゃんがいたのでそれどころではなかった。しかし言いづらいことだが、セックスをしない夜は楽でもあった。

日課の如く、脱衣所で、風呂上がりにもかかわらず服を着ない子供たちを追いかけ回す。ふと下に目をやると、妊娠線こそ目立たなくなったが、皮下脂肪によりたるんだ腹肉。
そして毎日の授乳により伸びた乳首。
出産前は、乳首が伸びるなんて知らなかったなあ。今では某海賊団の麦わら帽子の人くらい伸びるんだもん。ゴムゴムの乳首が手に入った。時は大母親時代だ。

セックスが先か、ホルモンが先か

すっかり女として魅力的ではなくなった体(当社比)だが、どうもダイエットをしてもパッとしない。
フィットネス系YouTubeを見ながらエクササイズに励んでいるのだが、私の筋肉痛は3日後とかにくるもんだから「昨日の運動がキクわぁ〜」なんて感覚にも浸れない。

年齢により痩せづらくなったのももちろんだが、やはり女性ホルモンがビンビンに出ていたら、ムチっとしていてもエロス溢れるバディになれるのではないだろうか。
子供が、ちゅぱっと私の乳房から口を離してテレビを見始めた。

母乳を吸い尽くされ、しおれた乳房。何かに似ている…なんだ…?
あっ!わかった!
「千と千尋の神隠し」でお父さんがブタになる前に食べてた謎の袋だ!

くそう!私のバストが謎袋なのも、やっぱりセックスによる女性ホルモンの放出が足りないからかな…。

ついにセックスの機会到来!

そんな金曜日の夜、珍しく夫が仕事から早く帰ってきた。
そして珍しく、子供たちも遊び疲れて寝ている。
夕食を済ませて、Netflixをザッピングしていると…おや?肩よせあって、なんか良い雰囲気じゃない?

「…する?」「するか」

そのままカーペットに2人でゴロゴロ。おや、これは理想的な流れでは!?
さて、産後とはいえ明るい家族計画に必要なアレが必要だね。

「夫、コンドームある?」

「あっ…あるんだけど、

子供たちが寝てる寝室の…天袋」

ああー!終わった!終了カンカンカンカンカンカン!!
寝室に入るだけでも目を覚ます、眠りの浅い下の子が、コンドームを取るために脚立に乗って押入の上を開けさせてくれるわけないんだからぁ〜〜んもう!

しかしそこは漢を見せる夫。何せ1年ぶりのセックスがかかっています。
勇猛果敢に脚立を持ち、寝室の扉を開けた夫!その時です!

「フエ…フギャー!!」

ああ〜泣いてるんじゃ〜
下の子が目を覚まし、私たち夫婦は男と女から、父と母になったのでした。

さて、セックスレス1年目に突入しました私たち夫婦。
これからはゴムゴムの乳首と、うすうすのゴムを胸に、いつでも戦いに備えるぜ!

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出汁茶漬けアユミ

夫と2人の子供を愛する、体は産後、頭脳は中二。 大喜利は見るのもヤるのもスベるのも楽しいので、SEXと同じですね。

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