ごきげんよう。青子(あお子)です!

コンドーム知らぬもの、セックスする勿れ。
今回は語源から歴史、現代の技術まで学んでいこうと思う。

ドクター・コンドーム?

「コンドーム」は製作者の医師の名から取ったという説がよく謳われているが、実際にその医師が実在したかどうかは不明であり、諸説あることをまず念頭に置いておきたい。

その製作者というのはイングランド王のチャールズ2世お抱えの男性医師『ドクター・コンドーム』氏。
プレイボーイだったチャールズ2世には結婚前にも後にも愛人が非常に多く、認知しただけでも14人の庶子が存在したという。
その愛人たちが産んだ庶子たちに大盤振る舞いの叙爵や屋敷をあてがい散財しまくる王を見かねたドクター・コンドーム氏は「こらアカン」と牛の腸膜を使った避妊具を開発したのがコンドームの始まり……

ーーと伝わっていることが非常に多いが、実際にはそういった文献は無く、コンドームの原型もチャールズ2世の時代から約100年前に既に存在しているという超俗説である。
(またこれとは別に、フランスの南西にある「コンドン(Condom)」という町の名前が語源ではないかとの説も存在する。)

ハッキリとした語源や由来が現代までに残っていない理由として、かつての宗教上、避妊が罪悪視されていたことに起因しているとも言われている。すべてにおいてゴムのように薄い情報で困ったものだ。

コンドームの歴史

しかし、色々な言い伝えや説があるが、古くから利用されたものが羊の腸や魚の浮き袋だった点は一致している

そもそもコンドームの起源は遥か昔にさかのぼり、紀元前3000年頃、初期エジプト王朝時代まで遡る。
当時のコンドームは熱帯病や昆虫の咬刺から陰茎を守る保護具、身分・地位のしるしだったといわれ、現在のように避妊具や性病予防具ではなかったという。
この保護具のコンドームにはヤギやブタの盲腸、膀胱が使用されていた。

(出典:https://www.m-mart.co.jp/search/item.php?type=buybuyc&id=iwataya&num=104)

綺麗に洗浄したとしても動物の一部だったものを大事な場所に装着するというのは現代の感覚としてはかなり遠ざけたいものである……。

そしてときは少し進み1600年頃。
エジプト人たちが魚の浮き袋などを利用して、現在と同様の使い方をしていたと伝えられている。これを通称「フィッシュスキン」という。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B0%BE

うむ、見た目はちょっとそれっぽい。
先程の動物の内蔵に比べるとなんとなく有りな気もするが、これを竿に装着し膣に挿入すると考えるとやはり抵抗がある……。

主にニベ科のイシモチや中国大陸沿岸部に分布するキングチという魚の浮き袋を乾燥させ作られていたというが、その浮き袋は約10㎝余の長さ
日本的には平均的サイズかもしれないが、明らかにペニスの方が余ってしまう者もいただろうし、またその逆もあっただろう。
しかし伸縮性にも富み、丈夫で何度でも使用できたという。

そしてこのフィッシュスキンはダンロップなどの企業が生産技術を発展させゴム製のコンドームが1840年代に登場するまで長い間使用されていたというから驚きである。

コンドームの存在しない時代の避妊法

上記のような動物や魚等の内蔵を使用していた文献もさることながら、まだ発展が乏しい地域では思わず顔をしかめてしまう避妊法がかつて存在したことをご存知だろうか。

①ワニの糞を子宮の入り口へ詰め込む
紀元前1850年、古代エジプトの女性たちはセックスを行うとなるとワニの糞を用意し、あらかじめそれを子宮の入り口付近(子宮頚部)に詰めて挑んだという。
実際ワニの糞はわずかにアルカリ性であり、殺精子の性質を持っていることが研究でわかっているが、まぁウルトラ不衛生スペシャルなのは間違いない
(また抗菌特性があるという理由でワニの糞にはハチミツを混ぜて使用したという。)

意外にもこの手法は何千年もの間歴史的記録として文書に残されており、問題が少なかったのではないかと言われているが、とにかくウルトラ不衛生スペシャルなのは間違いない

②石や青銅の欠片を膣に埋め込む

出典:https://wellcomecollection.org/works/yqhvzh3s?wellcomeImagesUrl=/indexplus/image/L0058744.html

上記の写真は紀元前200年頃のローマ帝国等で使用されていた、膣に入れて避妊を行うもの。
今やタンポン状の細長い形状で存在する膣用坐薬は、当時石や青銅といった固いもので作られていたのだ。
この膣用坐薬をペパーミント・オイルに浸すことで麻酔効果が得られる可能性があると女性たちに教えていたという。そう、あくまで可能性だ
その効くか効かないか曖昧なペパーミントを教えられていたという事実から、この方法がセックス前も後も最中もどれほどの痛みと苦痛だったのは、想像に容易い……。

③セックス後に水銀を服用
まるでアフターピルのように古代のアッシリアやエジプト・中国では、どういうわけか水銀が万能薬と信じられていた時代があり、女性は営みのあと熱い水銀を飲んでいたそうだ。
言うまでもないが水銀は肝臓や肺障害、脳障害を引き起こす劇薬だ。
流産を目的とするならば有効ではあっただろうが、母体も無事ではないのも明らかである。

他にも、古代ローマの婦人科医が推奨したのは「セックス直後にスクワットとくしゃみで精子を押し出す」という方法だったり、半分に切って搾ったレモンを膣に押し込む、おへその周りに猫の精巣が入ったチューブを巻く……などの珍法も存在したという。
かくいう日本でも吉原の遊女たちは、紙を膣に詰め込む、腹の上にお灸を行う……など迷信レベルの方法で妊娠を避けようとしていた。
いつの時代も望まない妊娠をいかに避けるか、女性たちはまさに命懸けだったのである。

現代の避妊法に感謝

生でいい?
ーーーこのセリフは私自身、人生で何度か男性から言われた言葉である。

残酷な避妊方法を行う辛い時代を超えーーー様々な研究・改良が行われたことで現在は非常にクオリティの高い、薄くて丈夫なコンドームが出来上がった。
今や日本のコンドームの品質は「世界一」といっても過言ではないだろう。
苦痛を強いられた人がいた時代まで遡り、現代のコンドームを授けてあげたいくらいだ。

そんな幸福だと言える時代に、『NOコンドーム,OK無責任妊娠』を謳うやつにはワニの糞をチンコから入れて精管にぎゅうぎゅうに詰めてやりたい
もしくはアッツアツの水銀をペニスにぶっかけてやろうか。
このコンドームが百均でさえ買える時代にそんな寝言を言うやつはすぐさま捨てていいワニ糞人間である

しかし……確かにコンドームを正しく使えば、97%の確率で避妊を成功させることが可能だが、コンドームを正しい方法で使わないために破れたり、ずれたりすることで​​成功率は85%まで低下するという。
つまり、コンドームだけでは避妊に失敗する可能性が大いにあるということを常に念頭におきセックスを行うというのを改めて頭のメモに大きく書いておくのだ。
そしてコンドームは避妊より性感染症予防の役割のほうが大きいことも知っておこう。
結局、自分を守れるのは自分だけなのだ

また昨今では女性側のピルの服用はよく謳われているが、男性用の避妊薬も近年登場する可能性があることも知識に入れておきたい。
2022年現在、今年中にはヒトへの臨床試験が開始される見込みであるという。

……いつかは、「コンドームってなぁに?」という疑問が多くの人から出るほど、
もっとクオリティの高い避妊具が存在し、男女ともに苦しまずセックスが楽しめるーーーそんな未来を、私は夢見ていたい。

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西青子(すーぱーあお子)

MC・ナレーター。 あやまんJAPANユースメンバー。 Podcastラジオ『変態淑女のお茶会』パーソナリティ。 本業はグラフィックデザイナー。 キラキラ女子のふりをしたオタク。 深夜...

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