【エロ用語講座】「マラ」の語源は?仏教がはじまり?自ら去勢する僧侶たち
ごきげんよう。青子(あお子)です!
以前、語源調査でチンチンの各部位について記事を書いた。
【語源調査】亀頭、カリ首、蟻の門渡り…動物の由来を持つチンコの性感帯たち
して、今回は『マラ』である。
チンチン自体を言う名称だが、どうしてこの二文字に集約するのだろうか?
マラは邪念。はっきりわかんだね
マラ。漢字で書かれる際は『魔羅』または『摩羅』だ。
語源はなんと仏教に関連性が高いという。
釈迦が悟りを開く禅定(ぜんじょう)に入った際に、瞑想を妨げるために現れたとされる悪魔。
これを『マーラ』といった。
煩悩の化身であるマーラにとって、お釈迦さんが悟りを開いちゃうことは自身の破滅につながる。そこで手始めに釈迦のもとにいろ〜んな技に長けた美しい娘たち3人を送り込むが、釈迦は数々の誘惑にも屈しない。
そのあとも怪物たちに襲わせたり、ありとあらゆる武器を降らせたり、一回周囲を全部暗闇にしてみても釈迦は微塵も動じなかった。最終的にはマーラ自身が巨大な円盤を振りかざして向かっていくが、なんと素敵な。円盤はその瞬間、花輪となったという。
そうなっちゃあさすがのマーラさん、完全敗北宣言。釈迦は無事悟りを開いたのでした。ちゃんちゃん。
……そして月日は経ち、日本においてはマーラが釈迦の修行の邪魔をしたことから、修行僧たちが煩悩の象徴として男根を“魔羅”と呼ぶようになったという。
釈迦の邪魔をして完負けしただけでは飽き足らず、まさか煩悩の象徴として選ばれたペニスの隠語として自身の名をもじられてしまうとは彼も夢にも思わなかっただろう。
ちなみに江戸時代ではこのマーラ(魔羅)は天狗のことを指したそうだ。
天狗がアレの象徴とされるのも納得である。
ときに、平安後期の説話集として作成された今昔物語(こんじゃくものがたり)では全31巻、1000話以上を超える話が収められている。
その大量の話の中に『蛇、僧ノ昼寝ノ”マラ”ヲ見テ呑ミ、婬ヲ受ケテ死ヌル語』という一文が登場するものがある。
この話、妻子持ちの若い僧が寺で昼寝していたら美しいお姉ちゃんとの淫夢を見て、起きてみるとなんと自分の精液で口の周りを汚した大蛇がすぐそばに横たわっていたというもの。
僧は「蛇は自分の精液に当てられ死んだのだろう」と震え上がり、その事実を親しい僧に話してワッハッハという、ただそれだけの奇怪で意味不明な話である。
この話の中に出る「マラ」はそのままペニスの意味なので平安後期の今昔物語があった時代にすでにその言葉が使われていた証拠である。
魔を断ち切るか、羅を断ち切るか
上記の”魔羅”というものが邪念ということから来ているのはわかった。
そこから展開し、江戸時代中期の川柳には「羅切(らせつ)」という言葉がある。
江戸時代の僧侶・了翁道覚(りょうおう どうかく)は、1662年33歳のときに、自ら小刀で”羅切”を行った。その理由は性欲の迷いを断つため……。
ーーーつまり羅切というのは早い話が去勢である。
陰茎のみ切断する場合と、陰茎と陰嚢を同時に切断する場合に使される言葉なのだ。
了翁はその後、2年ほど傷口が治癒せず苦しんだ。そら自分の手で天狗の鼻を切ってしまったのだから当然だろう。
しかし治療用に自ら調合した薬を「錦袋円」と名づけて売り出したところ、江戸名物になった。チンコ切って桶屋が儲かる。
この話を聞いた上で思うのだが、邪念である性欲「魔羅」を断ち切りたいのだったら、羅切ではなく「魔切」ではないだろうか?
日本では「邪魔」「悪魔」という言葉がある以上、その諸悪の根源は「魔」なのだろう。
なぜ「羅」を切る方を取って羅切なのだろう。
と思ったら「羅刹(らせつ)」という魔物が居る。これはなんとなく知っていた。
マーラも羅刹も仏教に登場する人を惑わす悪魔だ。これにはなにか親和性があるのだろうか?
……しかし私は追求するのをやめた。これは語源調査であり、強欲なのはいけない。私の周りにマーラが踊り始めた。いけない、クリちんぽ切らなあかんくなる。
現代語でのマラ用語
最後に、マラと現代語を少々。
【疲れマラ】
心身の疲労が極限に達しているとき、性的な刺激が無いのに陰茎が勃起すること。
疲れて帰ってきたサラリーマン男性が満員電車の座席で大口開けて眠り、そのマーラは勃起している。日本の風物詩。
【デカマラ】
文字通り、デカいペニス。妙に口にしたくなる語呂の小気味良い言葉。
日本人男性の平均は13cm、直径だと33mmだそうだ。
平均より少しくらい大きいからと言ってデカマラとは言えない。すぐに嬢に自慢するな。それは普通マラ。フツマラだ。(17cmからをデカマラというらしい)
【ハメマラ】
ハメハメちんぽこではない。男性の老化で症状としてあらわれる部位のことだ。
『ハ』は”歯”(歯槽膿漏や歯肉炎)、『メ』は”目”(視力低下)、『マラ』はそのまま”生殖器官”(勃起不全や尿の切れの悪さ)である。
漢字で書くと「歯目摩羅」という。
「マラ」という妙に小気味の良い口当たりであるこの言葉。まだまだ言葉が生まれても良い気がする。
……そんな中。
私がこの記事を書く際のメモに、「マヨチュッチュがあるならマラチュッチュがあってもいい」というのがあった。
なんだろう。書いた本人も全く意味がわからない。これが私の煩悩だというのか。
しかし、この一文を広げ小話を作れたら今昔物語に加えることができるかしら。
西青子(すーぱーあお子)
MC・ナレーター。 あやまんJAPANユースメンバー。 Podcastラジオ『変態淑女のお茶会』パーソナリティ。 本業はグラフィックデザイナー。 キラキラ女子のふりをしたオタク。 深夜...
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