ごきげんよう。青子(あお子)です!

今回は一部を除いた女性の皆様が、自身のそれを好奇心で初めて触れた際なんとも奇怪な感覚に襲われたであろう身体の部位。
そう、『クリトリス』というものを調べてみた。

語源、発祥は?

クリトリス。和名で”陰核”という名のそれは女体のみに存在し、男性におけるチンコに相当するものである。
語源については大方想像がつくだろうがこれは外来語だ。
しかしはっきりとした定説はなく、いくつかの説が存在する。

まずはギリシャ語で「丘」や「斜面」を意味する『kleitys(クレイトリス)』から来ている説。
また同じくギリシャ語で「有名な」「優れた」という意味を持つ『kleitos(クレイトス)』だという説、「閉める」という意味の『kleiein(クライン)』などなど……。

ともかくギリシャ系の言葉が語源となっていることはわかったが、明確な出どころははっきりとしていないという。

唯一確かなのは、その言葉が初めて使用されたのは一世紀のトルコの医学者が書いた文章であることだ。

世界のさまざまな呼び名

西洋におけるこの言葉の歴史には正確さにやや欠陥があるのだが、世界の文化の想像力には歯止めがない。
クリトリスは他にも、様々な呼び名が海外で付けられているのだ。

中国の古い教えでは『生命の門』『天国の門』『知識の蓮華』などと呼ばれている。
なんと知的な名称だろうか。天国の門が特にお気に入りだ。(クリは門というよりそれを開ける鍵・スイッチといったところだが)

西洋では『Sedes libidinis(熱情の座)』『oestrus Veneris(ヴィーナスの衝動)』『EWollustorgan(エクスタシーの器官)』などと呼ばれる。
こちらはなんとも官能的だ。それが神秘的で重要なものだと考えられていることが伝わる。
クリを刺激され絶頂に達する際、それを”ヴィーナスの衝動”だと。うむ、ぜひ言われてみたい。

ーーーこと日本ではどうだろうか。
そもそも『陰核(いんかく)』という医療的な名称が存在するわけなのだが、
平安時代には『吉舌(きちぜつ/ひなさき)』と呼ばれており、『おさね』『マメ』などと様々な呼び名が伝わっている。
だがそのどれもが短絡的な名称であり、海外にあるような素敵な響きをするものは見当たらなかった。

……そういうわけで、私が日本語的にこのクリトリスを表現するならばなんだろうかと考えた。

まずはそう……『顕(あらわ)な小枝』。
かのオーラルテクニックのプロ森林原人氏は自身のクンニ技のことを”小鳥のさえずり”と名付けた。
ならばそれを受けるクリトリスというのは小鳥が羽を休め止まる枝であるとする。

また細流ーー小川(愛液)を起こす強制的な奴隷という意味で『細流のつぶね』はどうか。
少々クリトリスを自虐的に捉えた名称だ。刺激されれば器官としての能力を発揮せずにはいられない。悲しいかな、それがどんな相手であってもだ。

うーむ、一般的に口に出すことが憚れるような箇所をこうして文学的に言語化することは筆舌に尽くしがたい愉快さがある。新たな発見だ。

世界の残酷なFGM

国によりあるときは知的に、またあるときは神秘的なものとして表現されるクリトリス。
しかし全世界的にそのような統一認識ではないことは今から記載する事柄を読めば明白だ。

今回はさいごに、女体を持つ我々が思わずクリヒュンすること間違いなしな世界の残酷で非合理なクリ事情をお届けする。

ーーースーダンの夜には、女性の絶叫が聞こえるという。
それは新婚初夜の花嫁の叫びだ。

新婚初夜。
花婿はその封鎖された膣を開くため、指や男性器を少しずつ挿入する。
そこまでは何ら問題はない。未来の花婿のため純潔を守った女性というのは珍しくなく、日本でも多くが喜ばしいと認識するような状況である。

しかし、もちろんそういった状況下での叫びではない。
スーダンを含むアフリカや中東などの一部の国では数千年前から慣習として続いてきた恐ろしい行いがある。
そう。いわゆる「女子割礼」だ。
これは、生後すぐから初潮を迎える前の少女たちのクリトリスと大陰唇・小陰唇を切除し、膣を縫い合わせるというものである。
その目的は、”結婚前の女性が自発的に性的快感に目覚めないこと”。つまり貞節のためと言われており、割礼の際は麻酔もなく、不衛生な場所で消毒もされていないカミソリなどを用いて行われることが多く、これまで感染症や出血多量で多くの女児が命を落としてきたという。

幼き頃縫い合わせられたその膣を無理やりにでもこじ開け性交渉を行うというのだから……。
ただ女として生まれてきたばかりに……と悔やまれてもおかしくない不条理な風習は、今なお一部の集落では行われているという。

これらの行いはFGM(女性器切除)と呼ばれる。
ユニセフが2016年に出した報告書では、スーダンでは15~49歳の女性の87%が女性器の切除を経験しており、何年にも渡り大きな問題となっている。
女性の身体が女性自身のものとして扱われず、性的なパーツばかり切り取られて値踏みされるような風潮は、改善されつつあるものの、解決はされていない。

想像するだけでなんとも表現できない恐怖に身体がすくむ。
世界的な女性蔑視への反対運動が活発化する昨今ではあるが、こういった現象が存在することも知識の一つとして持っておいて間違いはないだろう。

クリトリスならびに女性器は官能的であり神秘的で、ときに小鳥のとまり枝で、ときに小川のせせらぎを起こす可愛らしい部位ではだめなのだろうか。
世界と自身との認知の歪みはまだまだ大きいものだ。何不自由なく、不条理無く立派に生きる自らの性器に今日も愛を贈りたい。

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西青子(すーぱーあお子)

MC・ナレーター。 あやまんJAPANユースメンバー。 Podcastラジオ『変態淑女のお茶会』パーソナリティ。 本業はグラフィックデザイナー。 キラキラ女子のふりをしたオタク。 深夜...

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