アタシは見習い淫魔のフランソワーズあけび。
お願いがあるの。あなたの精気を分けてもらえないかしら?

あら、驚かせてごめんなさい。そんなつもりはなかったとは言えないけれど…。
ねえ、あなたのエロくて高まった精気をアタシに分けてくれないかしら?
アタシ、見習い淫魔なの。
元は人間だったのだけれど、転生する前のことよ。
場末のスナックのママだったのよ。年のせいだったのかしらね。夜になると目がぼやけることが多くなって…。えっ?老眼?ええ、そうね。
店の外の階段を踏み外して、落ちてしまって。そのまま人生が終わってしまったの。
でも、目覚めたらびっくりよ。こんな美人な淫魔に転生しているじゃない。
でもね、淫魔だけれど、最初からイケメンをどうこうはできないみたいなの。
最初は見習い。人間のエロく高まった精気をたくさん集めて上級淫魔の昇級試験をクリアしなければならないのよ。
だから、あなたにお願いを聞いてもらいたいの。
大丈夫よ。イヤらしいことはしないわ。
一冊、本を読んで貰いたくて用意をしてきたのよ。
タイトルは「月魚」です。

あらすじを教えてあげる

古書店『無窮堂』の三代目当主である本田真志喜と、幼い頃から友人である瀬名垣。
瀬名垣も同じ業界に身を置いています。
瀬名垣の父は「せどり屋」と呼ばれる商売をしていたの。
「せどり屋」とは古本屋で十把一絡げで売っている本の中から少しでも価値がありそうなものを買って他の古本屋に売ったり、ゴミ捨て場からまだ売れそうな本を拾ってきて古本屋に売りつけるのよ。
そんなだから、古本屋からは嫌われる商売なんだけれど、瀬名垣の父はゴミ山の本にいつしか本気で興味を持つようになったの。本への愛に目覚めたのかしら?
でも、そんな嫌われ者の瀬名垣の父の才能を見抜き、目をかけてくれたのが真志喜の祖父だったのよ。
幼かった瀬名垣も父の後をついて無窮堂に行くうちに真志喜と瀬名垣、2人は兄弟のように育ったの。
けれど、ある夏の日に起きた事件によって2人と大人たちの人生が大きく変わってしまうの。
そして、今でも友人として付き合う2人だけどその間にはあの夏の密かな罪の意識が横たっているのよ。
ある日、久しぶりに無窮堂を訪れた瀬名垣は自分が依頼された古書の買い取りの件で真志喜に相談をするのですが…。

作者は三浦しをんさんです。「まほろ駅前多田便利軒」シリーズや「舟を編む」、「風が強く吹いている」、は映画化されているのでご存知の方は多いのではないかしら?
大のBL好きと公言されるほどBL愛に溢れた作家さんなのよ。
本作は一般小説なのだけれど随所に「もしや…」と思わされる描写があるのです。
三浦さんもその件に関しては好きに想像していいというようなことをおっしゃっているので思い切り妄想しても良いと思うのよ。
例えば、瀬名垣は何かとやたら真志喜の髪に触れるの。
男性の友人同士、そんなシーン見たことあるかしら?アタシはありません。
真志喜は瀬名垣に何か際どいことを言われると首筋を赤く染めるし…。
瀬名垣視点で描かれる真志喜が、色素が薄いとか、切れ長の目とか、白い頬とか、柔らかくて猫の毛のような手触りの髪の毛だとか、なんだか全体的に淡くて儚いイメージで萌えるのよ。
そして、常に粋な和服を身にまとっているの。その下にある裸身はさぞかし…。
仏柄の変なシャツの男と色白で儚げな男…。妄想は膨らむばかりよ。
直接的な描写はなく、あくまで匂わせる程度なの。
なのに、美しい文章で紡がれる耽美だけれど透明感溢れる世界観にため息が出るほどのめり込んでしまいます。
小説って凄いわね。俳優さんが演じる映画やアニメーションはキャラクターの造形がはっきりしているけれど、小説は自分の好きにできるのだもの。
例えば、自分の推しメンをキャラに当てはめてみたり…。
ああ、尊いわ…。

どうかしら、昂ってきた?だったらアタシはその精気を頂戴していくわね。

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フランソワーズあけび

アタシは見習い淫魔フランソワーズ・あけび。 あなたにピッタリのエロスをお届けするわ。 上級悪魔になるために、エロい気分で高まった精気が必要なんだ。

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