こんにちは!きのコです。
この連載「きのコのプレイルーム」では、アングラ歴10年超の私が、さまざまなアングラ・エロ・変態にまつわる体験談や日頃の思いを赤裸々に綴ります。

新宿二丁目に行ったことはありますか?小さな街ですが、セクシュアルマイノリティにとっては、とても大きな存在である街です。
今回は、新宿二丁目の女性向けのお店に初めて行く人のために、仲間に出会える安心安全なお店を紹介します。

鉄板女酒場 どろぶね

おひとりさまがのんびり安心して食事も飲みもできる隠れ屋的女酒場。お好み焼きが名物!!
お酒も充実していて、特に梅酒&日本酒がウリですが、ウイスキーや焼酎なども珍しい逸品がちらほら。お酒が好きな人にはグッとくる品揃えです。
バラエティに富んだ女性スタッフが気さくに話しかけて、BARが初めてのお客さんの緊張をほぐしてくれます。
オーナーの長村さと子さんにお話を伺いました。

――女性限定BARとありますが、どういう人が入店できますか?
長村さん:むしろ入店できない人を説明しますね。シスジェンダー男性とか、過剰に露出が激しい格好の人、たとえばパンツ見せてるとか、乳首見せてるとか。あと、泥酔者ですね。
それ以外は入店できます。

――「どろぶね」という店名について教えてください。
長村さん:私自身が昔「どろぶね」ってあだ名をつけられたことがあって。
それに、私がどろぶねオープンした13年前は、新宿二丁目でどこかの店子じゃない人がお店を出すのは、ものすごいハードルが高くてほぼなかったんですよ。あってもすぐ潰れちゃったりするから、うちもすぐ潰れるってよく言われてたし。
だから、自分の中での皮肉ですよね。皮肉や斜め横からの表現って、新宿二丁目の文化でもあるし。いつか潰れても「新宿二丁目の潰れる泥舟になっちゃったね」って笑ってもらえたらいいなっていうくらいのチャレンジ精神でやってきた感じです。

――初めて新宿二丁目に来たおひとりさまも楽しめますか?
長村さん:基本的に、1人で来てる人にはスタッフは必ず話しかけると思います。うちのスタッフは、ほぼ新宿二丁目で遊ばない子たちばっかりなんですよ。だからお客様と同じ目線に多少なれると思うんですね。友達の友達みたいな距離感だと思ってもらえたら面白いかもしれないです。
共通してスタッフには「『今日の出会いが今日で最後かもしれない』って気持ちでやってください」って言ってるんですね。地方から出てきた子もそうですし、勇気を出して初めて新宿二丁目に来たっていう子が多くって。私自身も新宿二丁目に出てきた時がやっぱりそれで、すごく嫌な目にあったりもう2度と行きたくないなって気持ちになったこともあるので、うちが新宿二丁目の入り口になる時に、ここがきっかけで終わってしまうかもしれない、この子の広がりや可能性を潰すかもしれないっていう気持ちで働いてって言ってるんですね。
あと、お酒が飲めなくても大丈夫だから、堂々と言ってくださって構わないです。
それから、女性が好きかどうかってどっちでもいいんです。レズビアンだって決めつけられたら、違うって言ってくださって構わないので。曖昧でも迷ってる時でも、後ろめたく思わずに言ってほしいなって思ってます。すごく言いづらそうにする人たちが多くて、引け目に感じる必要ないのになって思います。

鉄板女酒場 どろぶね
住所:東京都新宿区新宿2丁目7−3
ヴェラハイツ新宿御苑 205
電話:03-3356-3358

足湯cafe & bar どん浴

どん浴は自分のセクシュアリティや年齢、国籍を気にすることなく誰でも来ることができる居場所。カテゴライズから自由になって人が繋がる場所です。
どろぶねと同じく、オーナーは長村さん。
個人的には、あったかい足湯に浸かりながら冷たいドリンクを飲むのが最高の楽しみ方です!!
入店にジェンダーやセクシュアリティの制限がないため、自分のジェンダーやセクシュアリティがよく分からない、決めたくない……という人にも訪れやすい雰囲気があります。

――なぜ、普通の飲食店だけではなく「足湯」なのですか?
長村さん:自分たちがオープンでいられる安全な場所は新宿二丁目だなって感じてて、そういうところで共通の何かを持てたらいいなって思ってて。
もともと、どろぶねは鉄板焼きやお好み焼きをみんなでシェアして食べるっていう意味で始めたんですね。シェアっていうのは、日常的なものだし、特別なものでもある。
あと、隣の人と和気藹々とするみたいな感じを、人との関わり合いで私はすごい大事にしてるんですね。足湯であったまった気持ちで隣のテーブルの人と盛り上がったりとか、たまたまその場所で居合わせた人たちが同じ足湯の席で繋がったりして、アットホームな感じになるんです。その場に来た人とも、共通して一緒に楽しめてすごくいい時間を過ごせるのが、お湯の繋がりなので。
それに今、お風呂問題とかトランス女性のことってすごく言われてますよね。性自認がどうとか、トランス女性がオペしてるとかしてないとか、傷つけられる言葉がたくさん。人の下半身について話すことが足湯だと関係ないんで、同じものを楽しめると思ってます。

――“どん浴”という店名について教えてください。
長村さん:人を知るという意味では、すごく「貪欲」でいたいなって思ってて。
「浴」は浴槽の浴にかけてるだけで、ただそういう覚えやすい名前っていう、1つの新宿二丁目らしさみたいなものは入れてます。
ノンバイナリーやパンセクシュアルのスタッフさんが多いですが、セクシュアリティを意識して人選したのでしょうか?
全然意識してないですね。
セクシュアリティをウェブサイトの自己紹介に書いてるのは、そういう当事者の方が来る際に、どんなスタッフさんがいるのか安心感のために書いているだけなので。たまたま今特にノンバイナリーの子が多いのかな。
セクシュアリティも性別も働くことに対して関係ないと思ってるので、選んでいるというよりは、やっぱりそういう人たちが働いてるので安心して働けるのかなっていう問い合わせは多いです。

――初めて来たおひとりさまにオススメの「どん浴」の楽しみ方を教えてください。
長村さん:まずスタッフに話しかけて、お話を楽しみましょうっていうのも全然OKです。
あと、1冊置いてくれたら1冊持って行ける「旅する本棚」っていう交換制の本棚があるので、結構じっくり読むのにいい本がありますね。
パソコンの電源入れて、じっくり何時間でもいていいよというカフェって案外少ないというか、やっぱり人の目を気にしちゃったりすると思うんですけど、その人の過ごし方でいいんじゃないかなって。たとえば編み物をしていたり、パソコンでの作業、読書などをしてる人も結構います。
だから、のんびり過ごしてほしいなっていうのはありますね。足湯が空いてたら、ぜひ足湯にも入ってほしいですけれど。

足湯cafe & bar どん浴
住所:東京都新宿区新宿2丁目7−3
ヴェラハイツ新宿御苑203
電話:03-6273-2841

BAR GOLD FINGER


実は、私が生まれて初めて訪れた新宿二丁目の店がGOLD FINGERでした。
10年以上前、私は離婚してLGBTQのコミュニティに入ったばかり。それまで必死に演じていたノンケの仮面を捨てることを決意して訪れたGOLD FINGERの、キラキラした世界に舞い上がったのを覚えています。

オーナーの小川チガさんにお話を伺いました。

――“GOLD FINGER”という店名について教えてください。
チガさん:チガさん:1991年にWOMEN only のイベントをスタートしたの。イベント名は何回か変わりましたがGOLD FINGER で定着。その流れで今から15年前に新宿二丁目にBARをオープンしました。当時の店名は「MOTEL」。今の場所に移転してから「BAR GOLD FINGER 」って名前にしました。
当時イベントには映画『007』のイメージのGFボンドガールズっていうポールダンサーチームがいて、avexと全国ツアーが組まれるほど大人気だったんですよ。もちろんゴールドフィンガーにはレズビアンとしてエッチな意味もあるんだけどね笑

――どういう人が入店できますか?
チガさん:女性!もしくは基本女性同伴の人!土曜日のみ女性オンリーです。月曜はFtMのスタッフがお待ちしています。

――ビアンBAR未経験の人が1人で来ても楽しめますか?
チガさん:おひとり様多いですよ!うちはインターナショナル🌈BARとして海外でも有名みたいで、新婚旅行(同性婚)とかで来てくれる海外からの旅行者もたくさんいらっしゃいます。外国人スタッフもいます。
みんなワチャワチャ楽しそうに交流してますよ。
自分がまだどういうセクシャリティか分かってない人が、ここの街に探しに来る人も多いですね。新宿二丁目は、むしろマイノリティがマジョリティの世界だから、いわゆる世間とは逆。それは面白い体験になると思います。

――初めての人にオススメの“GOLD FINGER”の楽しみ方を教えてください。
チガさん:GFがセレクトした世界のLGBTQニュースを店内の大画面で流してるんで、楽しんでいただけたら。土曜日は出逢いに役立つルミカブレスを配布してるので、友達や恋人作りに役立つはず!ま、自分次第ですけどね笑
LGBTQ関連の書籍など揃えたBAR GFライブラリーもあるから、1人で本を読んでもいいし。

ピピ!ときたらアクション!!
お気軽にお越しください。

BAR GOLD FINGER
住所:東京都新宿区新宿2丁目12-11 1F
www.goldfingerparty.com

BARから足湯まで、女性が1人で行ける新宿二丁目のお店「どろぶね」「どん浴」「GOLD FINGER」を紹介しました!!
どのお店のオーナーさんも、自分のお店に、そして新宿二丁目に対して熱い想いがあることがしっかり伝わってきました。ソーシャルメディアが発達して、ネットで簡単にセクシュアルマイノリティ同士が繋がれる時代ですが、やっぱりお店全体・地域全体で「ここなら安心で安全だ」「ここなら仲間に出会える」と感じられるオフラインの場所というのは、決して失ってはならないものだと感じます。
新宿二丁目が初めてという女性の方、セクシュアルマイノリティもストレートも関係なく、ちょこっと勇気を出してドアを開けてみてくださいね!

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きのコ

混浴温泉巡りを趣味とする野生の裸族。ヌーディストビーチを作りたい。全身タイツとWet&Messyが好き。 ハプニングバーを渡り歩き、乱交パーティーを主催し、緊縛モデルを務め、...

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