普通の日常、普通の人


地下鉄の電車の中。
つり革を持って立つ自分の姿が見える。
ここに写る私は、どこから見ても普通の人だろう。

だけど、ケンさんと居たとき、
鏡に写った私は、見たことのない姿だった。
そして、それも私であることに間違いなかった。

あれからどれだけ時間がたっただろう。
刺さるように強かった日差しが、時々冷たく感じるようになっていた。
なのに、あの時の強烈な記憶は、唐突に、そして鮮明に私の日常に現れていた。

心の底から震えた潤也さんとの記憶。
ただただ身体の感覚を刺したケンさんとの記憶。
正直自分でも戸惑っている。
目の前に映る自分の姿から目をそらすように携帯に目を落とした。

ケンさんとのやりとりは、普段使わないトークアプリを使っている。
通知も切っている。
なんとなく、そのアプリを立ち上げると、
未読のメッセージが1件あった。

「そろそろしたいでしょ?」

ラブトリップ

冷たさの向こう側

もう何度目だろうか。冷たいシーツに背中を落とした。
目の前にいる相手よりも、背中に触れるシーツの冷たさに感覚がいく。
その温度は私の心も同時に冷やす。

ーーー
ケンさんのメッセージに
「そうでもないけど」と返事をした。
「まぁ、そういうと思ったよ」
「なにそれ」
「とりあえず、いつ会える?」
今回も迷う隙はなかった。
ーーー

「キスしていいでしょ?」私を上から見下ろすケンさんが言う。
「それは前も言ったけどいや」
「へぇ」
不満そうな顔をしたあと、ケンさんはわざと唇ぎりぎりのところに舌を這わせた。
拒絶しようと上げた手を、まるで分かっていたかのように押さえつけられる。
「今日は、手もくくるけど、目隠しもするからね」
確認するように目を合わせたケンさんから、視線をそらした。
胸の奥深く、疼く何かの波動が、身体中に広がっていくよう。

ケンさんは慣れた手つきで、自由と光を奪った。

知らない私を呼び覚ます

-私は今日何をされるのだろう

「エロい絵面だな…今…どんな気分?」
そう言われても、「別に」としか言えない。

「どうするか言わないと始めないよ」

ケンさんの声が、ゆっくりと影をおとしていく。
不安よりも期待のほうが、わずかに勝っていた。

「…気持ちよくなること、されたい」

ケンさんはフッと笑い
「されたい、って言うこと自体、Ⅿだよね。」と言いながら、温度をもった手で私の肌に触れた。

視界を奪われた黒の世界で、私は潤也さんを思い出していた。
優しく触れる大きな手。長くてきれいな指。
そこから伝わる体温と想い。
触れ合えば合うほど、彼をもっと欲した。

胸を掴まれ、吐息を含んだ唇がその先を覆う。
「はぁ・・・っ」
刺激が身体の奥まで突き抜け、鳥肌がたつ。
柔らかく生ぬるい舌が、固くなった乳首を包みその輪郭をなぞる。
「きもちいい…」

-潤也さん、きもちいいよ。私はあなたに舐め溶かされたい…

突き刺さるように迫る快楽で、思考の境界が霞む。
潤也さんを重ねる多幸感で気持ちが昂り、目頭が熱くなる。
ケンさんはふと動きを止め、身体から離れた。

曖昧だった境界が、途端にくっきりと戻り、
潤也さんがいない現実を思い知る。

遠くで物音がし、足元に気配が近づく。
ローターの音が部屋に響きわたり、溶けてドロドロになった場所へと運ばれた。
「ちょっ、まって。ああッ…!!ローターはすぐいっちゃう、から・・・」
私の声は届かないまま、クリトリスにそれが押し当てられ、
舌が入口をゆっくり舐めまわす。
「相変わらず、めちゃくちゃ濡れるよね。ほとんどなんもしてないのに、エロ過ぎない?」

さっきまで、私は潤也さんの影に抱かれていた。
今ケンさんが舐めている場所がこんなにも濡れているのは、
あなただからじゃない。
そう思ったことは、もちろん口には出さなかった。

無機質なローターの音。
そこに重なる、粘度を含んだ音。
「ほんとにだめ…イク、いきそう、はぁ…、はぁぁっ ん、ああああっっ…」
意識が遠のく瞬間、ケンさんは動きを止めた。
「まだ、いかせない」
荒い呼吸だけが残る。
「ミキにイラマさせたい」


手首の拘束がほどかれ、身体を起こされる。
立膝になった途端、頭をホールドされる。
華奢なケンさんとは不釣り合いと思うほど、太くて長いペニスが唇を割って、押し入ってきた。
「ミキ、苦しいところまで入れるから。ちょっとだけ我慢して」
そういわれても、もう口の中に入っているので何も言えない。
「ううぅぅっ… ん… うううぅぅぅ…ッ」
「ミキのイラマめちゃくちゃ気持ちいいんだよ。はぁっ、あああぁ、いいわ。きもちい」
逃げようにも抑え込まれて動けない。
圧倒的な支配の中で、私は知らない私になっていく。
喉奥まで押し込まれ、引き抜かれ、また頭を掴まれて挿入される。
繰り返すたびにケンさんの声は大きくなり、私の意識はどんどん遠くへ沈んでいく。

「うううっ…ゲホッッ‼」
えづいて顔をそらすと、むせて涙がこぼれた。

「ミキすごい上手だよ。これハマるわ。もっとやって上手くなろうな」

遮られた視界で、無機質な黒にのみ込まれる孤独。
誰かが触れているのに、温度を感じない。
色を失った私は力なく、座り込む。

ケンさんはそんな私を、再びベッドに沈めた。

―潤也さん…
もう一度、少しでもいいからあなたの影に抱かれたい。
わずかな望みを抱いて、瞳を閉じた。

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星河りな子

まじめなふりして、不真面目な人妻。 たまにどうしようもなく悶々とすると、欲しがりな子になり、突拍子もない行動に出ます。 いいsexはどんな美容施術よりも効果があると体感して...

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