AV業界裏話80 AVはアドリブ禁止?現場で知った意外と厳しいルール
皆さま、おはこんばんちはー♡
学生時代、校則はしっかり守っていましたか?
校則を全く守れていなかった竹あき嬢です。
髪型や制服の着方など、厳しいルールがあった方も多いのではないでしょうか。
AVの世界というと、自由なイメージを持っている方も多いかもしれません。
リアルナンパ作品だったり、恋人同士のラブラブ作品だったり。
その場の流れで会話をして、その場の流れでプレイが始まる。
そんな風に見える作品もたくさんあります。
私もアダルト業界で働く前は、現場での絡み(SEXシーン)はアドリブだと思っていました。
ですが実際に働いてみると、想像していたよりもずっと細かくルールが決められていました。
今回は、私が現場で体験した大激怒事件を交えながら、AV撮影現場の意外なルールについてお話しようと思います。
SNS時代、野外撮影はほぼ不可能に
昔のAVには、街中でナンパをしたり、路上で撮影したりする作品もたくさんありました。
ですが現在はスマートフォンやカメラ付きデバイスが当たり前の時代です。
誰もが簡単に写真や動画を撮影できるようになったことで、許可のない場所での撮影はほぼ不可能になりました。
・通行人が映り込む
・撮影風景をSNSへ投稿される
・情報が拡散される
こうしたリスクから、最近はスタジオ撮影が中心になっています。
その結果、AV業界ではスタジオそのものもどんどん進化しました。
学校、病院、美容室、オフィス、一般家庭。
作品に合わせたセットが作られ、本物と見間違えるような空間で撮影が行われています。
色々なスタジオについての記事も気になる方は読んでみてください。
>>>AV業界裏話vol.4 実際に撮影で使われている変わったスタジオ3選
リアルナンパ作品も実は台本通り
さらに、適正AVの考え方が広がり、AV新法が施行される以前から撮影現場のルールは年々厳格になっていました。
適正AVとは、出演者の人権や契約内容を守りながら制作された作品のことです。
2017年にはAV人権倫理機構が発足し、作品の倫理上の審査や契約上の合意、出演者への報酬の開示などを確認したうえで、問題のない作品を「適正AV」として流通させていました。
2024年にはAV人権倫理機構が解散し、適正AVのマークも使用されなくなりましたが、出演者を守りながら作品を制作するという考え方自体は、現在も業界の中に浸透しています。
AV新法ができる前から、アダルト業界は少しずつ変わろうとしていたのです。
そうした流れの中で、台本に書かれていないシチュエーションやプレイを勝手に追加することはできなくなっていきました。
さらに2022年にAV新法が施行されてからは、契約時に説明した内容や脚本にないシチュエーションやプレイを、その場の判断で追加することはできなくなりました。
現在は出演者が事前に合意した内容に沿って撮影を行うことが法律で定められています。
リアルナンパ作品も、恋人同士の作品も基本的には台本があります。
その場の流れでアドリブを入れたり、予定になかったプレイを追加したり、作品を見ると自然に起こっている出来事に見えますが、実はそういったことはほとんどありません。
そんなルールを、私が身をもって知ることになった出来事があります。
美容室セットで起きた、大激怒事件
私がAV制作現場でスタイリストをしていた頃のことです。
ある日、美容室を舞台にした作品の撮影がありました。
高齢の男性客がセクシーな美容師さんにいたずらをして、そのままセックスへ発展していくという内容です。
もちろん本物の美容室ではありません。
美容室のセットを作り、小道具なども揃えて撮影に臨みました。
(ちなみに鏡にスタッフが映り込むので、全部の鏡にトレーシングペーパーを貼るのが一苦労)
この日の男優さんはビデオテープ媒体の時代から活躍しているかなりのベテラン。
色々な小道具があれば、手に取っていたずらをしてみたくなるのが平成の男優さんです。
撮影が始まると、その男優さんも近くにあった小道具を手に取り始めました。
ブラシの柄を陰部に挿入したり、髪留めで乳首を挟んだり、ラップで足を固定したり。
台本には書かれていないアドリブプレイが始まります。
男優さんとしては、作品をより面白くしようというサービス精神だったのだと思います。
ですが、なにやらスタッフサイドがざわついています。
監督を見ると、ゆでだこのように真っ赤。
今にも爆発しそうな顔をしていました。
この時の私は、まだ知らなかったのです。
AVの撮影では、厳密に台本通りのことしかしてはいけないということを。
若手男優さんなら、すぐにカットをかけて同じシーンの撮り直しをしていたでしょう。
ですが今回は業界歴の長いベテラン男優さん。
業界歴の長い男優さんには注意がしにくいものです。
さらに高齢の男優さんの勃起はかなりメンタルに関連するので、変な理由で撮影を中断すると回復まで時間がかかることもあります。
男優さんの勃ち待ちは、女優さんにとっても大きなストレスです。
だからといって、このまま撮影を続けるわけにもいきません。
どうするんだろう。
そう思っていると、監督がひとつの作戦を思いつきました。
「スタッフの不手際ということにしよう」
裏でスタッフたちがこそこそと集まって相談を始めます。
そして運悪く、携帯電話を鳴らす役に選ばれたのが私でした。
撮影中に携帯が鳴る
↓
監督が激怒する
↓
ミスを叱る
スタッフのせいで撮影が中断した、というシチュエーションを作ることになったのです。
今思うとかなり無茶な話です。
そして私は、リアリティを出すために無駄に30分以上叱られることになります。
ですが男優さんも女優さんも事情を知りません。
完全に私がやらかしたことになっています。
男優さんからも女優さんからも白い目で見られ、
「あの人何やっているの……」
という空気です。
正直、とほほでした。
その間に別のスタッフが男優さんへ事情を説明し、小道具を使わないようお願いしていました。
そして最低限必要な小道具以外は撤去。
問題のシーンは、あらためて撮り直しになりました。
結果的に私は貧乏くじを引いただけです。
ですが私が悪者になったことで、誰も傷つかずに済みました。
男優さんの顔も立つ。
女優さんへの負担も最小限。
撮影も無事に続行。
当時は理不尽だと思いましたが、今振り返ると監督もかなり悩んだ末の判断だったのだと思います。
ただ、30分は怒りすぎ。
現場ではすべてが記録されている
実は現在の撮影現場では、作品用のカメラとは別に「現場カメラ」が回っています。
現場カメラは一日中回されていて、女優さんや男優さんに不適切な行為が行われていないかの証拠を残すためのものです。
もちろんスタッフの行動も記録されています。
この日の撮影では、私がありえないくらい怒られていたので、後日メーカーの担当者さんから直接心配の連絡が来ました。
事情を説明すると笑い話になりましたが、それだけ現場の安全管理が重視されているということでもあります。
演者さんだけではなく、スタッフも含めて現場全体を守るための仕組みが作られているのです。
作品を見るだけではなかなか気付かない部分ですが、現場ではこうしたルールや仕組みが少しずつ積み重ねられています。
私自身、この出来事を通して考えさせられたことがありました。
AVの世界というと、自由でアドリブだらけの現場を想像する方もいるかもしれません。
ですが実際には、事前の打ち合わせや台本確認が徹底され、演者さんやスタッフを守るためのルールが細かく決められています。
聞いていなかった。
知らなかった。
そんなトラブルを少しでも減らすために、多くの人が事前の確認を重ねながら作品を作っています。
もしかすると規制が少ない方が、もっと自由で面白い作品が作れるのかもしれません。
それでも私は、現場で働いていたからこそ思います。
誰かを守るためのルールなら、あってもいいのではないかと。
そして私はあの日、30分以上怒られる役を担当しました。
ですが後にも先にも、あれほど真剣に怒られたふりをした日はありません。
そう考えると、AV撮影現場に限らず、どこかで理不尽に怒られている人を見かけたときも少し見方が変わります。
もしかしたら本当にミスをしたのかもしれません。
でも、もしかしたら誰かが注意しにくい相手の行動を止めるために、矢面に立っているのかもしれません。
少なくとも私は、そんな理由で30分以上怒られたことがあります。
怒られている人が、必ずしも悪いとは限らない。
あの日の現場は、そんなことを教えてくれました。





