女教師のここだけの話 生理前が辛い!PMDD(月経前不快気分障害)とは?
皆さん、こんにちは。新学期が始まりましたね。
今日も元気に秘密の課外授業をしていきましょう。
今回の授業のテーマは「PMDD(月経前不快気分障害)とは?」です。月経随伴症状にも色々なものがありますが、あまり知られていない症状なのではないでしょうか。実は私もPMDDの当事者なのです。生理についてはまだまだ男性や、その症状のない女性の方にも知られていないこともあり、誤解を生んでいることもしばしば…
生徒の鷹くんとゆあちゃんと一緒に深掘りしていきましょう!
月経前の情緒不安定の正体は…
鷹くん
うっざ!!
友達から彼女の愚痴が長いねん。
メンヘラやって。
どうせ鷹の友達が要らんこと言ってんやろ?
ゆあちゃん
鷹くん
いや、定期的に彼女が精神的に不安定になったりヒステリックになるんやって。
俺の友達は何もしてないのに。
2人とも何を騒いでるの?
莉音先生
ゆあちゃん
鷹の友達の彼女が定期的にメンヘラ起こすんやて…
その子私も知ってるけど普段は良い子やで?
そうなのね。
もしかしてそれ、生理に関するものじゃない?
莉音先生
鷹くん
え?
ゆあちゃん
え?
生理前になると、精神的に不安定になったり、普段より些細なことでイライラしたりつい感情的になったりする…そんな経験のある方はいませんか?
実はそれ、PMDD(月経前不快気分障害)という月経随伴症状なんです。軽い情緒不安定であったり身体の症状に出るPMSは割と最近知られてきましたが、精神面や情緒面に大きな影響を与えるPMDDは、未だにあまり理解はされていないのです…。
ゆあちゃん
先生!前に子宮頸がんの授業したときに言ってた、先生が病院に通ってるってやつ?
ゆあ、よく覚えているわね。
実は私もこのPMDDを治療しているのよ。
莉音先生
鷹くん
先生もメンヘラなん?
怖っ!
お前デリカシーの欠片もないんか!
何も知らん奴は黙っといて!
ゆあちゃん
莉音先生
鷹がそう誤解しているのも無理はないわ。
この症状は、まだあまり医学的にも原因や病態については知られていないの。
え、お医者さんでもわからないの?
鷹くん
莉音先生
ええ。
とにかく女性ホルモンのひとつ、プロゲステロン(黄体ホルモン)が関わっていることしかわかっていないの。
ここで社会福祉法人恩賜財団済生会のホームページを見てみましょう。
https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/premenstrual_dysphoric_disorder/
生理が始まる2週間前頃から、心身が不安定でとても辛い状態になる症状を「月経前症候群(PMS)」といいます。その中でも精神面の不安定な症状が強く出てしまい、社会生活に支障が出てしまう場合を「月経前不快気分障害(PMDD)」と診断されます。
PMDDは、抑うつ気分、不安・緊張、情緒不安定、怒り・イライラが主な症状になり加えて睡眠障害や食行動の変化(過食など)が原因になり、社会生活や人間関係に支障をきたします。月経のある女性の、およそ1.8%から5.8%が該当すると言われているんですよ。
ゆあちゃん
先生はいつ分かったの?
私の場合、数年前に気分の落ち込みが酷いこと、特に自己否定から消えてしまいたいと考えたり、突然涙が止まらなくなったりイライラして物や家族に当たってしまったことがきっかけだったの。
これは異常なのかな、私はおかしい人間なのかなってひたすら自分を責めたわ。
莉音先生
ゆあちゃん
そんなことがあったんだね…
ただのわがままにしか思えへんけど…
俺の友達の彼女もそれなのかな。
鷹くん
莉音先生
生理が終わると急に穏やかになるようならそうかもしれないわね。
でも、これはただのわがままなんかじゃないの。
当事者の人は正体の分からない苦しみを抱えているのよ。
もちろん人によって、どのような症状が出るかは差があります。しかし、どの人にも共通しているのは、理解が薄いが故の苦しみと自分でもコントロールできないところではないでしょうか。
セルフチェックは大塚製薬のサイト、「PMSナビ」からもできるので、「もしかして私もそうかな?」と感じる方はぜひ試してみてくださいね。
https://www.otsuka.co.jp/pms-lab/about/pms_pmdd.html
どんな治療をするの?病院選びは?
鷹くん
先生、さっきゆあが病院行ってるって言ってたやん?
どんな治療してるの?
てかこれ、気の持ちようやろ?大袈裟やなぁ
あくまで私の場合だけど、お薬を飲んで対応しているよ。
そして鷹、大袈裟だとか、気の持ちようだっていうのも大きな誤解よ。
莉音先生
治療法を選ぶ前に、どの科を受診するか、そしてどういう風に伝えたら良いのか。ここがいちばん大きな障壁だと私は考えます。もちろん人間ですから受診した病院でも合わない先生がいたりすることも考えられますし、精神科や心療内科はそもそも診察の予約がとれないことも多々あります。
私の場合は大学病院の産婦人科を受診しました。もし精神面での症状が大きいなら、精神科の方に回してもらうことも期待しての病院選びをしました。
産婦人科の受診をこんなことでしても良いのかな、と考えている方もいるかもしれません。しかし、産婦人科は女性の体のことを専門に診てくれるところです。だから気負うことなく行ってみてほしい。私はそう願っています。
それでは、PMDDだと分かったらどのような治療をするのでしょうか。
医療機関にもよりますが、だいたい薬物療法だと4パターンくらい、そしてお薬を使わない治療法に大きく分けることができます。
1.漢方薬
2.選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
3.低用量ピル
4.それぞれの症状にあった対症療法
5.お薬を使わない方法
まず漢方薬からお話します。
漢方薬は、体のバランスに働きかけることを期待して使われることや、副作用も少ないことから割と導入時に使われることが多いです。直接PMDDに効果があるものもありますが、付随症状を取り除いて体を整えるイメージですね。
次に、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)です。
これは、精神医療の面から見て、PMDDの治療の第1の選択肢として使われることが多いです。ここまでを読むとなんだかややこしいですね。
簡単に説明しましょう。SSRIとは、いわゆる「抗うつ薬」。精神科で出されることが多いお薬です。毎日飲み続ける方法と、生理前の2週間のみ飲む方法があります。少量で早くから効果が得られるため、よく選ばれるのです。
抗うつ薬って依存性がありそう…と思われた方もいるのではないでしょうか。このSSRIは依存性が少ないお薬もあります。なので安心してください。
低用量ピルについてもお話しますね。
低用量ピルは、ホルモンを補うことにより生理前症状を緩和する目的で使用します。お薬によっては生理の回数を減らすことが出来るものもあります。しかし、ここで注意。あくまでこのピルは、「月経前症状を緩和するため」のものです。避妊のためのものではないので、気をつけてください。
鷹くん
ピルやろ?
中出しし放題やん!
先生の説明ちゃんと聞いた?
避妊のためじゃなくて女の人のしんどさを和らげるもの!
ほんまに思いやりない奴やな。
ちんこ蹴られろ!
ゆあちゃん
莉音先生
こら2人とも!やめなさい。
でも、世の中の男性は鷹の言ったような誤解をしている方もいるわ。
だからこれを機に覚えておいてね。
あとは、それぞれにあった対症療法や、お薬を使わない方法を紹介します。
対症療法としては、頭痛や腹痛に関しての鎮痛剤の処方があります。とにかく今直近のしんどさがある!という方におすすめです。
また、お薬を使わない方法として運動やリラクゼーションがあります。しかし、この方法は「症状を誤魔化している」とも言えます。そのため、根本的な解決をしたいのであればお薬に頼るのが良いかもしれません。
ゆあちゃん
先生はどうやってるの?
私は体質でピルが体に合わないから漢方を何種類か組み合わせているのと、SSRIを使っているよ。
最初は通院することや抗うつ剤を使うことに抵抗があったけれど、ちゃんと治療することで楽になれたから恥ずかしがらずに産婦人科に行ってよかったと思うわ。
莉音先生
鷹くん
こんな色んな方法があるんだ!
知らんかった……
そうやで!
やっぱり私もしんどかったら恥ずかしがらず産婦人科にいってみよう。
ゆあちゃん
鷹くん
俺もちゃんと彼女のこといたわることができるように頑張ろうっと
お前彼女おらんやん!w
ゆあちゃん
皆さんも、生理のお悩みがあってどうにもならない…とか、生理前のしんどさに耐えられないという方は受診を検討してみてくださいね。
PMDDはまだまだ知られていないが故に偏見や無理解も多いので、これを機に知って貰えたらと思います。
それでは、次回の秘密の課外授業もお楽しみに!
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